本記事では、第60回全国数学教育学会のDay2の模様をお届けします。
Day2では、9つの研究発表とシンポジウムに参加しました。
研究発表についてですが、Day1でも多くのことを学びましたが、Day2はさらに多くの学びがありました。
批判的デザインリサーチの方法論に関する研究は、私が修士課程時代のゼミで初めて学んだデザインリサーチに関する本を思い出しました。少しは理解できていると思っていましたが、その何倍も深い考察がされており、感服しました。発表者の先生は以前から存じ上げており、私と同じ現場の教員とは思えないほど研究レベルが高く、尊敬している先生です。何年経ってもその先生の足元には及びませんが、少しでも近づくことを目標に、私自身研究を頑張っていきたいと感じました。
同先生は、現代の数学教育研究論文の特徴を計量書誌学的に分析した研究の発表もされていました。着眼点、研究の方法、結果のどれもが非常に興味深かったです。
統計的モデル化アプローチに関する研究も拝聴しました。Wild & Pfannkuch (1999) は統計を語る上で常に参照される論文ですが、私は統計的探究プロセスを知って満足してしまっていました。もう少し丁寧に勉強し直さなくてはならないと感じました。
メタファー的思考の研究も大変興味深かったです。「メタファー」という概念をまだきちんと理解できていませんが、展開の事例を聞いて面白そうだと素朴に感じました。普段の授業でもメタファーを用いて考えることが有用であると度々実感しているためです。今後の研究の展開がどうなるのか注目していきたいと思いました。
教師の教授行為に関する研究は、佐々木ら(2013)の教授行為のカテゴリーを参照していましたが、面白い研究だと感じました。その後の教師の気づきに関する研究も大変興味深く、捉え方と解釈の難しさを実感しました。
シンポジウムは「次期・次世代カリキュラムと数学教育カリキュラム研究に対する期待と展望」と題し、清水先生、影山先生、小林先生のお三方のお話を伺いました。大変貴重なシンポジウムであり、大変勉強になりましたが、壮大な話題であったため、まだまだ浅学な私は着いていくので精一杯でした。(着いていけた!?)
もう一度、資料とメモを見直し、勉強していきたいと思いました。
2日間の学会を通して、本当にたくさんのことを学び、気付かされました。
数学教育研究の内容面では、多くの研究で Coles (2024) が引用されていたので、勉強してみたいと思います。また、エージェンシーについてもよく話題に上がりましたが、正直あまり理解できていない部分があるので、これも勉強していきたいと思います。
数学教育学の内容以外の部分では、自身の発言力・研究力の未熟さを痛感しました。確かに全国数学教育学会は哲学的であり「難しくて深い」ため、着いていくだけでも大変ですが、それでももう少し主体的に関わっていけるようになりたいと思いました。
また、今研究大会を通して、多くの良い出会い繋がりを得ることができました。
これも学会参加の良さかなと思います。このご縁を大切にしていきたいと思いました。
P.S.
奈良教育大学の近藤先生が、「興福寺は改修工事に入っていて、今は上の先っぽだけ見える。全貌を見ることができるのは2027年です」とおっしゃっていたため、学会後に行って参りました。雨が降りしきる中、近くで見ることができました。何だかパワーをもらえた気がしました。
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