今回は「数学B 数列」の単元で「数学的帰納法」についての授業を行いました。この授業は、私が昨年から取り組んでいる研究の一環としての「提案授業」でした。
伝統的な数学的帰納法の指導は、まず「(ⅰ) n=1 のときに成り立つ(初期成立性)」を示し、その後「(ⅱ) n=k のとき成立すると仮定したとき、 n=k+1 が成り立つ(伝導性)」を示すという流れが一般的です。しかし、今回の提案授業では、この順序を逆にし、(ⅱ) を先に導入してから (ⅰ) を説明する形で進めました。また、問題解決時の記述の流れも逆にする指導法を取り入れました。
この指導法を提案した背景には、数学的帰納法の意味理解が困難であるという先行研究の示唆と、私自身の経験から、生徒の思考プロセスに沿った指導が有効ではないかと考えたからです。
授業を行った感触としては、生徒の意味理解をある程度促すことができたのではないかと思います。現在は研究を進行中であり、今後、伝統的な指導を受けたクラスと提案授業を受けたクラスの双方に調査問題を実施し、数学的帰納法の意味理解を測定・分析する予定です。
ただし、研究の分析手法についてはまだまだ学びが必要であると、大学の先生からのご指導を受けて実感しました。理論的なバックアップや研究方法論について、これほど近くでご指導いただける現在の環境に感謝するとともに、これを糧にさらに精進していきたいと思います。
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